2017年05月23日

鶴見線の小さな旅(2)

 土曜日の昼下がり、「鶴見」駅から電車に乗った。以前とは異なり、エアコン付きで快適な3両編成が来た。もし全線踏破したいなら、午後4時過ぎの「海芝浦」行きに乗るといい。発車してすぐに、廃駅である「本山(ほんざん)」駅の遺構の脇を通過し、東海道線や京浜東北線、京浜急行線を鉄橋でまたいで「国道」駅に到着する。
「鶴見小野」駅を過ぎると、工業地帯に入るが、古い埋立地のために、樹木もところどころ茂っている。「弁天橋」付近には、鶴見線の車両基地が広がっている。次の「浅野」駅は、本線と海芝浦支線の分岐点となっている。僕の乗った列車はカーブして、「新芝浦」駅に入る。駅名は「東京芝浦電気」、今の「東芝」に由来する。複線はそこまでで、埋立地の海沿いを急カーブで曲がる頃、レールは単線となっている。ほどなく「海芝浦」駅に到着。
 この「海芝浦駅」は鉄道ファンには、ちょっとした人気スポットとなっている。駅のプラットフォームが岸壁の上にあり、東京湾や首都高の湾岸線、鶴見つばさ橋が一望できるという景色の良さもさることながら、改札口から一般人は下りられないという、稀有な駅だからである。というのも、改札口の先が東芝の社有地となっているからである。
 ただ、余りに有名になってしまったため、「海芝浦」」駅を訪れる鉄道マニアのために、海岸沿いの一郭が公園として開放された。だから、厳密には改札口から出られない駅ではなくなった。
 もし「海芝浦」駅を訪れるなら、よく晴れた昼下がりがいい。海風に頬を撫でられていると、元気のいい魚が海面からジャンプするさまが見られる。とにかく、この駅が鶴見線随一の眺望の良さを誇るのである。(つづく)


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2017年05月22日

鶴見線の小さな旅(1)

 Windowa98が使われていた頃、「電車でGO」というゲームで遊んだ。最近のものと違って、現実の映像は使われていなかったが、手作りのCGという感じでなかなか味があった。その中に鶴見線のシリーズがあった。現実の鶴見線ではなく、このシリーズで知ったという人も多いだろう。茶色いクラシックな車体、クモハ12形は、動く骨董品のような車両で、昭和40年代に幼児期を過ごした自分には懐かしかった。
 僕自身もそうだが、東京近郊に住んでいても、鶴見線に乗ることは滅多にない。横浜市と川崎市にまたがる工業地帯を走り、一部の企業に勤務する人を運ぶ路線だからである。もとは「鶴見臨海鉄道」という名で、大正15(1926)年に浜川崎〜弁天橋間と大川支線が貨物営業を始め、昭和5(1930)年に電車による旅客運転も開始した。昭和18(1943)年に国有化されてから、鶴見線と呼ばれるようになったのである。
 駅名を見ると、「国道」という素っ気ないものや、「浅野」「安善」など、浅野総一郎、安田善次郎といった実業家の名前に由来するもの、「昭和」「新芝浦」「海芝浦」など、企業名によるものが多い。(つづく)

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2017年05月21日

ぼくはネコなのだ(39)

 何を書いているんだろう。大学とかいう、休みだらけの学校の先生らしいから、教えるための書類でも作ってるのかと思った。文章を書き上げたところで、おじさんがボタンを押すと、何とその機械から男の声が聞こえてきた。

 ぼくはネコなのだ。名前はまだない。どこで生まれたか何(ニャン)となく覚えている。そこは薄暗くてじめじめした所。今住んでいるうちの物置の下だろう。何が悲しかったのか、ニャーニャー泣いていたことだけは記憶している。

 何だ。この先生、ぼくのこと、話に書いて遊んでるらしい。「何(ニャン)となく」とか、ネコ真似までしている。ネコのこと勝手に書くんじゃない! ネコごとだと思って。ちょっと仕返しをしてやりたくなった。そこでおじさんがトイレに行ってる間に、機械の上に乗っかって踊ってみた。すると、白い画面に文字が出てきたから、踊りながら人間の言葉を書こうと思った。
 しばらくして、髪の短いおじさんが出てきた。ぼくはあわてて機械の上から飛び下りた。それを見ておじさんは、不機嫌そうに顔をゆがめた。そして、ぼくの顔をじっと見ながら言った。
「自分のこと書かれて怒ってんだろ。仕返しでもしたつもりなんだろ」
 その言葉を聞いてぎょっとした。ただ怠け者の先生だとばかりと思っていたが、ネコの心を読むこともできるらしい。ちょっとこわい気もしたが、それならこっちにも考えがあると思った。(つづく)

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