2017年04月27日

川平湾は海の花園(2)

 船底はガラス張りだった。緑色なのでそれほど鮮明には見えない。沖に停泊すると、大きな熱帯魚がたくさん現れた。色とりどりに泳ぐ姿に目を奪われる。海岸の珊瑚は石灰化して、生きているものは少なかったが、赤、紫、橙の珊瑚は大きく、悠然と枝を伸ばしている。
 海の花園と言っても、珊瑚はれっきとした動物である。熱帯魚にとっては隠れ家となるが、プランクトンを食する虫の集合体である。もし、こんな物が陸上にいたら、ちょっと無気味かもしれない。虫や小鳥を食べる木々が風に揺れていたら。
 確かに、イトマンジーと比べたら、美しさや豊かさの点で格段に上なのだが、珊瑚の間を自由に泳ぎ回るような感動はない。一体感がないのだ。テレビの中継を見ているのと同じである。じゃあ、潜ってみればと言われそうだが、川平湾は潮流の流れが速く、底では足を引きずられるという。
 警告を無視して入った若者が、命を失ったという話を、ペアレントの奥さんが話していたのを思い出した。川平湾の海の花園には、魔物の罠が仕掛けられているのだ。(つづく)


「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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posted by 高野敦志 at 03:25| Comment(0) | 旅行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする