2017年04月23日

ぼくはネコなのだ(27)

 ぼくが柿の木と屋根の間を、行ったり来たりしていると、おなかがいっぱいのはずの兄貴まで一緒になって、屋根の上で飛び跳ねるのだった。体の重い兄貴がジャンプしたものだから、家の中はどれだけ騒がしかったことだろう。
 裏口から髪の短いおじさんが出てきた。柿の木の下から見上げている。ぼくが柿の木に飛び移ると、兄貴も屋根の端から顔をのぞかせ見下ろしている。
「ほんとに、こいつら中に入れろって言ってるよ」
 おじさんが開けっぱなしのドアに向かって、言った。すると、おばさんに手を引かれたおばあさんが、よろよろしながら顔を見せた。
「あらまあ、本当に生きてるわ」
 しわだらけの顔は笑っていない。おばあさんは、ぼくたちのこと、あまり好きじゃないんだなと思った。兄貴も柿の木に移ってきて、とまどっているぼくを尻目に地面に飛び下り、おばあさんの横をすり抜けると、さっとうちの中に入っていった。ぼくもあとに続いた。
「やっぱり外は寒いのよ」
 おばさんが言った。奥まで進むと、兄貴の言ってた暖かい箱が見えた。近づいていくと、おじさんがにこっとして、いい匂いがする肉の塊を差し出した。ぼくにくれるのかと思い、恐る恐る近づいていくと、今度もまた兄貴に食べられてしまった。
「ひどいよ、兄ちゃん!」
 ぼくは思い切り不満の声を上げた。(つづく)

「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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posted by 高野敦志 at 03:57| Comment(0) | 文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする