2017年04月21日

ぼくはネコなのだ(26)

 日が暮れた頃、裏口のドアが開いた。出てきた兄貴は眠そうな顔をしている。口に鼻を近づけたら、何やら肉のにおいもする。
「中はすごいぞ。オレらのオンボロ小屋とは大違いさ。夜になったのに、昼間みたいに明るいし。暖かい風が出てくる箱まであるんだ。おやつもらって、箱の前に座っていたら、気持ちよくなって寝てしまったよ」
 ぼくはうらやましかったが、裏口がまた開く気配はない。しかたなく、プラスチックのネコ小屋に入ろうとしたとき、玄関が開いておばさんがえさを出してきた。容器の中に口を突っ込んだ。でも、兄貴の口のにおいとは違う。おなかが減ってるから食べはじめたけど、兄貴はいつもと違うようだ。
「オレ、おやつ食べ過ぎたみたいだ。こんな乾いたえさなんかより、ジューシーな肉のほうがうまいぞ」
 その話聞いたら、ぼくは我慢ができなくなった。柿の木の上に上ると、台所の屋根の上に飛び下りて、わざとジャンプしたり、地団駄を踏んだりした。
「開けろ、開けろ、ドア開けろ。おいしい物を食べさせろ!」(つづく)

「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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posted by 高野敦志 at 00:37| Comment(0) | 文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする