2017年04月20日

『男はつらいよ フーテンの寅』第3作

 極道の寅次郎は、散々周りをひっかき回す。自分は幸せになれないけれども、人間にとって何が大切かは分かっていて、困っている男女がいると、仲を取り持つ役を買って出る。いわゆるトリックスターという存在で、沈滞した世間を混乱させることで、本来あるべき姿を思い出させてくれるのである。
 今回、寅次郎に見合いの話が出る。ところが、相手の駒子という女は古くからの知り合いで、浮気した男への腹癒せのために、お見合いを申し出ただけだった。寅次郎は駒子と相手の男の仲を取り持つまではよかったが、仕出し弁当に酒、芸者にハイヤーまで呼んで祝宴を開く。費用はすべて「とらや」持ちと言い出して、おじさん夫婦と大げんかして飛び出す。柴又を飛び出さないと、寅次郎の物語は進展しない。
 湯の山温泉の古い旅館で、番頭として寅次郎は働くようになる。女将がきれいな未亡人お志津だったからである。寅次郎はお志津に一目惚れするが、どうなるかは毎度の定番である。今回新鮮だった手法としては、失恋した寅次郎が、初詣の中継に登場して、とらやの人たちをびっくりさせるという設定である。そこでも、寅次郎はお志津の名前を口にしていた。懲りない男である。
 時に昭和四十四年。貧しい父を助けるために、娘が妾奉公に出る話が出てくる。確かにまだ日本は貧しかった。バスが大人三十円、子供十五円の時代。三十円のコーヒー牛乳がごちそうで、いつも母にねだっていたものである。

「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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posted by 高野敦志 at 01:27| Comment(0) | 文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする