2017年04月19日

石垣島のイトマンジー(5)

 足にフィン、人工のひれをつけると、一気に泳ぎが楽になる。足を数回動かすだけで、滑るように進めるのだから。人間が魚になるには不可欠の物だ。また、ゴムで足を保護するという意味もある。
 足の届かぬ深みに進んでいく。水中メガネに映ったのは、観賞魚のようにかわいい小魚、青白いルリスズメダイである。頭部が紫で尾の方がオレンジの小魚も目を引いた。ロイヤルドティーバックという名前だそうだ。黄色と黒の縦縞のクラカオスズメダイも、珊瑚の周りに生息する小魚である。
 小さなウツボが、こちらの姿に驚いたか、さっと岩蔭に身を隠した。岩の間には針が長くて黒いウニが潜んでいる。いちばんグロテスクなのが、巨大な黒っぽい縞のナマコだった。オオイカリナマコというそうで、一瞬ウミヘビかと思ってしまった。
「食べられるんですか」
「まずくて食えないって話だよ」
 水中メガネを通して覗くと、数メートルはあるように見えてしまう。自分の目で魚を追っていくと、魚になったかのような気分になる。無数の小魚に目を移すと心がなごみ、いくら潜っていても飽きないのだった。(つづく)

「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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posted by 高野敦志 at 04:39| Comment(0) | 旅行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする