2017年04月06日

ぼくはネコなのだ(24)

 庭の柿の実が赤く色づいてきた。おばさんに、髪の短いおじさん、それにおばあさんという奇妙な家族に、ぼくもだんだん親しみが持てるようになった。ここのうちにすみついてよかった。朝晩もかなり冷えるようになったし。
 普段爪とぎしている柿の木も、葉がたくさん落ちるようになった。ひなたぼっこしながら、兄貴にきいてみることにした。
「あの赤い実、食べられるのかな」
「分からないな。オレらには母ちゃんがいないから、教えてもらえないし」
 そのとき、カラスが飛んできて、いちばん赤い実を食べはじめた。半分ほどのみ込んだところで、下に落として飛んでいった。すぐさま、兄貴は赤い実に食らいついた。
「うまい、うまい、こいつはうまいぞ」
 それを聞いて、ぼくは木にのぼって、だいぶ赤くなってきた実を下に落とした。ちょっと固そうだったけど、兄貴の真似して食べてみた。
「何だ、こりゃあ!」
 しぶくてしぶくて、舌がしびれそうだった。もう柿なんか食うもんか。
「おかしいな。オレが食べたのはあまかったよ。種しか残ってないけど、ちょっとなめてみろよ」
 言われままになめてみたが、本当にあまい。どうやら、カラスにはあまい実が分かるらしい。
「だから、人間はカラスのこと、カアちゃんなんて呼ぶんだな」
 ぼくが言ったことに、兄貴はぽかんとして首をかしげていた。(つづく)

「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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posted by 高野敦志 at 01:30| Comment(0) | 文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする