2017年04月30日

川平湾は海の花園(3)

 グラスボートを下りて、レストランに入ったところで、イトマンジーに連れていってくれたおじさんと会った。そこで一緒のテーブルについて川平定食というのを食べた。天麩羅に刺身、酢の物、汁、豚の耳(ミミガー)の和え物など。
 前の日にお世話になったお礼を、きちんと言わぬままにユースホステルを出てしまったので、こうして挨拶できたのは運がよかった。そこには同じ部屋に泊まった青年もいた。
「狭い島の中で行くところも大体決まっているからね」とおじさんは言っていた。

 食事が終わったところで、旅の無事を祈って解散した。ふたたび、石垣港のバスターミナルに戻った。船の時間まで史跡巡りでもしようと思った。そこで港の近くにある、琉球王国時代の八重山の頭職(かしらしょく)の邸宅、宮良殿内(みやらどぅんち)という武家屋敷を訪れた。(つづく)

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2017年04月29日

ぼくはネコなのだ(30)

 家に髪の短いおじさんが、一人で留守番している日があった。おばさんとおばあさんは、どこかに出かけていた。そのうち、おじさんまで出かけてしまった。今日の夕食はどうなるんだろうと、兄貴と話しあっていたら、おじさんが誰か連れてきた。
 おじさんが二人になってしまった。新しいおじさんは、ほっぺたが赤いくまの絵が描かれたシャツを着ていた。「くまモン」という言葉が聞こえてきた。どうやらそのくまの絵のことらしい。そこで、くまの絵のシャツを着たおじさんを、「くまモンさん」と呼ぶことにする。
「あっ、ほんとだ。かわいいね」
 くまモンさんはネコ好きらしい。ぼくと兄貴の方を見くらべている。ぼくはこわくなって、少し離れたところに座っていた。すると、くまモンさんはおなかの毛が白い兄貴の方ばかり見ている。
「毛の色は違うけど、白いネコの方がイオに似ているな」
「イオって、木星の衛星イオからつけたの?」
「火の国にぴったりだと思ってね。イオは白と黒のまだらのネコだったけどね」 (つづく)

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2017年04月28日

ぼくはネコなのだ(29)

 こうしてぼくたち兄弟は、奇妙な家族が住むうちに出入りするようになった。とはいっても、一定の時間がたつと、台所のドアが開けはなたれた。その理由について、ぼくなりに考えてみた。
 要するに、この家の中にはトイレがないのだ。まあ、おばあさんが一定時間、重い腰を上げて、「あいつ」とか「会いてぇ」とか言いながら、部屋を出入りしているところを見ると、人間のトイレはあるらしいのだが、肝心のネコ用トイレがないのだった。
 ぼくたちがオシッコをするのは、単におなかが苦しくなって、すっきりするためだけではない。ここは自分のシマだと、他のネコに知らせる意味があるのだ。
 この部屋に住み込むなら、部屋の中でオシッコをしなければならないのだが、どこにしたらいいか分からないし、むやみにしたら二度と入れてもらえない気がした。そこで、おなかが苦しくなると、ドアの方に近づいて「ニャー」と鳴く。すると、おばさんがドアを開けてくれるから、今だとばかりに、ぼくたち兄弟は外に逃げ出すのだ。一晩も家の中に泊まったことがないのは、そうした理由によるものだと思うのだ。(つづく)


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