2017年02月24日

ぼくはネコなのだ(16)

 雨が降ってきた。それに風も吹いてきた。ひさしの下だと、雨粒がどうしても降りかかる。兄貴とぼくは、閉められたままの雨戸の外で震えた。しかも、えさを食べていないから、余計に身にこたえる。
「物置の下の方がよかったかな」
「今から移動したらびしょぬれだぞ」
「でも、雨は降りかからないよ」
「降り続けば、あそこは水たまりになるからな」
 床下で死んだ妹のことを思い出した。ぼくが震えているので、毛が長い兄貴が外側になって、しずくが降りかかるのから守ってくれた。
「つらいんだったら、寝てしまったっていいんだぞ。おれが起きててやるから」
 兄貴のことを食いしん坊だとか、鈍感だとか言ってた自分がはずかしくなった。日が暮れて少しすると、雨はあがったようだった。寝ぼけながら、ぼくは体温につつまれながら、兄貴の寝息を聞いていた。(つづく)

「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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posted by 高野敦志 at 01:13| Comment(0) | 文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする