2017年02月22日

ぼくはネコなのだ(15)

 兄貴とぼくは、空き家となっている隣のうちの、二階のベランダへと移動した。ここではえさはもらえないから、二匹だけで食べ物を探しにいかなければならない。
「ぼくたちどうなるのかな」
「えさが食べられなければ、三味線にされなくても、骨と皮だけになってしまうだろうな」
 この近所には、ネコを目の敵にしている人間もいるから、うろうろしているだけでもあぶない。生まれたばかりなのに、どうしてつらいことばかりあるんだろう? ぼくは生きているのがいやになった。
「兄ちゃん、どうしたら死ねるんだろう。このベランダから飛び下りたら死ぬかな」
「くるりと回って、ひらりと着地してしまうよ」
「じゃあ、断食しようか」
「えさが見つからなければ、死にたくなくても断食だ」
「もっと手軽な方法は?」
「わざとつかまって、ガス室で死ぬかい?」
「そんなの、いやだ」
「悩んだってしかたないさ。あしたはあしたの風が吹くっていうから」(つづく)

「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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posted by 高野敦志 at 01:31| Comment(0) | 文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする