2017年02月15日

ぼくはネコなのだ(13)

 枝にしがみついたぼくを追い越して、一気に地面に着地した。あんな高さから飛び下りる勇気なんか、今のぼくにはない。
「おい、ついて来いよ」
 通りを渡って、向かいの草むらに入っていった。迷路のような中を、頭を下げたり、引っかかる茎を足から払って、兄貴についていくのは容易じゃない。
「待ってよ。何でこんなことしなくちゃならないの?」
 息を切らして登っていくと、草の茂みが切れて、ぼくたちの住む二階屋が見下ろせる高台までやってきた。
「パトロールしなくちゃいけないんだよ」
「パトロールって?」
「ここがぼくたちのなわばりってことさ」
 そう言いながら、兄貴はしゃがんでおしっこをした。ぼくもまねっこして、連れションしていると、二階屋の前にワゴン車が止まるのが見えた。杖をついたおばあさんが、息子らしいおじさんに手を引かれ、車の前に出て行った。
「何してるのかな」
「さあ?」
 おばあさんは車で行ってしまった。少しして、おじさんも自転車で出かけていった。(つづく)

「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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posted by 高野敦志 at 00:21| Comment(0) | 文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする