2017年02月14日

ぼくはネコなのだ(12)

 そのとき、ぼくは向かいの窓ガラスに、杖をついたおばあさんと、髪の毛の短いおじさんが並んでいるのを見た。人間がこわいぼくは、すぐさま梅の枝から飛び下りたくなったが、兄貴はしっぽを振って呼び止めた。
「あの二人、親子だろ。人間はあんな年まで生きられるんだな」
 なるほど、おばあさんは白髪頭で、杖を握った手もふらついている。ネコの世界では、自分の父親さえ知らないことが多いのに、まして、おじいさんやおばあさんが誰なのか、知ってるネコなんかいない。ぼくたちのらネコは、子供を何匹か作って、病気したら、はい、さようなら。これから涼しくなり、寒い冬が訪れたら、ぼくと兄貴が生き残れるかも分からない。
「いつもえさをくれる女の人、誰なんだろう? 夫婦かな」
「さてね。よそのうちじゃ、いそがしそうにしてるけど、ずいぶんのんびりしてるじゃないか。いいご身分だよ」
 兄貴はクールなたちだから、えささえもらえれば、どうだっていいんだろう。(つづく)

「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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posted by 高野敦志 at 00:26| Comment(0) | 文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする