2017年02月06日

ぼくはネコなのだ(10)

 えさの時間になった。おばさんが大きな袋から、乾いたえさを皿の中に移している。皿の数を見ると、二つしかない。母ちゃんとぼくたち兄弟、それに極ネコのおじさんで四匹なのに。
「ああ、どうしよう。こんなに増えちゃって」
 おばさんは困った声を出している。えさを入れた皿を下に置くと、自分もしゃがんで、白い毛並みがきれいな兄貴に手を出している。若い男の子が好きなのかな。でも、ぼくはまだ人間がこわいんだ。だから、手を近づけられると、ガーと声を出して警告する。
「ねえ、母ちゃん。あのおばさん。ネコが増えて困ったって言ってるね」
「あら、何であなた、人間の言葉が分かるの?」
 その返事を聞いてたまげてしまった。母ちゃんも分からないのか。兄貴は? と聞こうと思ったが、えさを食べる方に夢中で、なかなか答えてくれない。
「おまえは分かるんだ。へえ……」
 口の中でもぐもぐしながらしゃべるから、ネコにも聞き取るのが大変なくらいだった。それにしても、何でぼくにだけ、人間の言葉が分かるんだろう?(つづく)

「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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posted by 高野敦志 at 01:05| Comment(0) | 文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする