2017年01月27日

ぼくはネコなのだ(7)

 兄貴とぼくが、階段を上って玄関の前、いつもえさが置いてあるところに飛び出したとき、「ガー!」っていう威嚇の声がして、白に黒縞のオヤジさんがこちらをにらんでいた。
「兄ちゃん、どうしよう」
 普段は威張ってる兄貴も、毛を逆立てて尻込みしている。いつでも逃げられるようにして、ぼくを前に立たせようとする。
 叫び声を聞いて、母ちゃんがぼくらの前に走り出た。
「ここはわたしたちが住んでたところなのよ!」
「そんなこと、知らねえや。空き家に誰が住もうたって、他ネコさまに文句を言われる筋合いじゃねえや。こっちだって、おまんま食い上げりゃお陀仏よ。行き倒れのネコなんざ、車にひかれて煎餅だ。線香の一つもあげちゃもらえねえぜ……」
 ぼくは母ちゃんの陰で聞きながら、その口上に聞き入っていた。ネコの世界にも極道のおじさんがいるんだな。いわゆる「極ネコ」っていうのが。(つづく)

「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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posted by 高野敦志 at 01:41| Comment(0) | 文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする