2017年01月22日

ぼくはネコなのだ(6)

 生まれてはじめて、ぼくは生き物が死ぬということを知った。しかも、与えられた命を、いきなり奪われることもあるということを。それはネコ事ではないのだ。えさにありつけなければ、いずれぼくたちも……
 とりあえず、ゴミ捨て場で食べ物をあさることになった。母ちゃんが網を持ち上げて、色白の兄貴が先に入った。上品な顔して、何でもぼくちゃん一番じゃないと気がすまない。要するに、食い意地が張っているんだ。袋の中に魚の頭が入っていた。ビニールを食いちぎったとき、後ろからさっき子ネコをつかまえたうちの主人が出てきた。
「こらっ!」
 兄貴は自慢のしっぽが網に引っかかってしまった。男は小走りで近づいてくる。このままじゃ、あの子たちと同じ運命だ。母ちゃんが必死に網を外そうとしている。間一髪で逃げ切り飛び込んだ先は、駐車場のある二階屋、ぼくらが生まれたうちだった。元の古巣に逆戻りというわけか。(つづく)

「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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posted by 高野敦志 at 04:59| Comment(0) | 文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする