2017年01月11日

ぼくはネコなのだ(3)

「さあ、引っ越しですよ」
 物置の下で寝ていたら、いきなり母ちゃんに起こされた。兄貴も眠そうな顔をしている。せっかく、屋根のあるところ、といっても、床下に過ぎないんだが、カラスにいじめられない寝床が見つかったというのに。
「おまえたちは人間のにおいがするよ」
 それを言われて、きょとんとしてしまったが、兄貴はくんくんぼくの体をかいでいる。そう言えば、寝ている間に、手を差し伸べてきた者がいたような。
「人間はえさをくれるんでしょ」
 食いしん坊の兄貴が言い返した。
「えさはくれるけど、まちがっても、知らない人間からもらっちゃだめなの。それはわなをしかけるためなのよ。私たちを三味線って楽器にしてしまうんだから」(つづく)

「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
http://itunes.apple.com/jp/podcast/qing-kong-wen-ku-no-zuo-jia/id504177440?l=en

Twitter
https://twitter.com/lebleudeciel38

ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村


人気ブログランキングへ





ランキングはこちらをクリック!

posted by 高野敦志 at 00:34| Comment(0) | 文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする