2016年11月02日

猫の耳(2)

「身体髪膚、之を父母に受く。敢えて毀傷せざるは、孝の始めなり」というのは、戦後の教育を受けた人間には馴染みの薄い『孝経』の一節だ。最近では自らの耳に穴を開けてピアスを通すのが流行っているが、孔子がこんな習俗を見たら、道徳を知らない未開の民族だと嘆くことだろう。
 ただ、世界各国にはさまざまな習俗があり、男の赤ちゃんの性器の皮を切り取る割礼なんて習慣も、中東やアメリカなどで現に行われている。新生児の場合は麻酔もかけないというから、これは麻酔をかけた猫の耳をV字に切り取るよりも残酷かもしれない。
 耳の端に切れ込みを入れるのも、猫のファッションだと思えばいいじゃないかと、自分に言い聞かせようとしたが、どうしても納得がいかない。当の子猫の方は、耳の一部を切り取られたことなど、一向に構わぬ様子で、他の猫とじゃれ合っている。自身には見えないわけだから、首輪なんかつけられる方が、木登りするときに引っかかって、よっぽど迷惑なのかもしれない。

「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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posted by 高野敦志 at 01:31| Comment(0) | 文学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする