2016年10月26日

「指宿」は「いぶすき」(8)

 六時半に日の出。錦江湾の朝日を写真に収めた。向かいの大隅半島から太陽は昇り、次第に穏やかな海面に赤い光が広がっていく。まるで湖のように、さざ波しか立っていない。凪いで大気も澄んでいるし、対岸もそれほど遠くに見えない。
 朝食を終えて、九時五十分にチェックアウト。友人と向かったのは池田湖だった。本物の湖を見てみたかったからだ。本土の中で雄大な風景が広がるのは、北海道と九州なのだが、それは巨大な火山が作り出したものでもある。とはいえ、北海道に多いカルデラ湖が、九州では至って少ない。原因はカルデラの多くが海中に眠っているからだ。あの錦江湾のように。九州で数少ないカルデラ湖が、これから向かう池田湖である。果たして、摩周湖のような美しさが待っているのだろうか。
 バスに乗り込んだのだが、乗客は友人と僕の二人だけ。いやな予感がした。空は曇ってしまったし。途中で乗り降りする人はいたが、終点で降りたのは、やはり二人だけだった。九州一のカルデラ湖といっても、ほぼ円形で風景に変化が乏しい。しかも高地ではないから、爽やかな風が吹いてくるわけでもない。名物はないかと探したが、大ウナギとネッシーもどきのイッシーしか見当たらない。
 何だが拍子抜けしてしまった。右方の開聞岳はふもとが丘に隠されている。黒鵜が数羽、湖面を泳ぎながら餌を探していた。水面に光の波紋が映っている。湖岸に花が植えられているので、気を取り直して写真を撮った。(つづく)

「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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posted by 高野敦志 at 00:49| Comment(0) | 旅行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする