2016年10月11日

「指宿」は「いぶすき」(1)

 久し振りの九州だった。熊本地震が発生する一ヶ月ほど前のことである。九州の地名は読みにくい。「指宿」を読める人は、地理に詳しい方だろう。鹿児島市と桜島には行ったことがあるが、「指宿」は難読だから子供の頃から気になっていた。温泉地としても有名なので、福岡で友人と合流し、一緒に旅することにした。
 羽田空港は曇っていた。昼頃まで雨が降っていたから。仕事を早めに終えていた。午後五時過ぎ。離陸してすぐに多摩川が見えた。たちまち、気流と雲の中に入り、機体は細かく揺れる。と思った途端、雲の上に出た。上空は晴れ上がっていた。下界はすっかり雲に覆われているが、西の彼方は赤く燃え、黄色から白、大空の青といった感じでグラデーションを描いている。
 雲海とはよく言ったものだ。波の形はどれ一つとして同じものはない。帯のように、巨大な生物の背骨のように連なるもの、龍の鱗のように、光を浴びて輝いているもの。雲の波は時の流れの中でも、ほとんど形を変えない。それほど、悠然としたものだ。大空を駆ける翼は読み取り機のように、下界に広がる大気の彫刻をスキャンしている。(つづく)

「青空文庫」の作家、高野敦志の世界
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posted by 高野敦志 at 00:35| Comment(0) | 旅行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする