2016年10月19日

「指宿」は「いぶすき」(5)

 普通列車で指宿駅に戻った。国民休暇村の送迎バスが来た。チェックインして、泊まる部屋に入った。海側には青い錦江湾。大隅半島がすぐ沖に見える。湖のように見えるが、海底には阿多カルデラが眠っている。巨大なマグマの塊が。西大山駅では、開聞岳しか目に入らなかったが、本当の主は海の底に眠っている。遠い未来に牙を剥くまでは。
 巨大なガラス窓に向かって、ベッドが二つ並んいる。広々とした空間は、まるで映画に出てくるホテルのようだ。荷物を置いた後、知林ヶ島に行こうと友人に誘われた。大潮の時期、干潮の間は砂州が現れて、歩いて渡れるという。
 海沿いを進んでいき、岩の岬の脇を降りていくと、ずっと先に山そのもののような島が見える。砂に足を取られてなかなか進めない。午後六時前には水没するというからゆっくりはしていられない。(つづく)

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2016年10月18日

「指宿」は「いぶすき」(4)

 特急玉手箱号の終点は指宿駅である。改札口を出ると、鰹節とお茶の接待を受けた。駅の近くのコンビニで弁当を買って、ふたたび指宿枕崎線の下りに乗った。JR九州が指宿〜枕崎間を廃止するのではないか、という憶測が流れている。確かに、指宿を過ぎると乗降客が激減する。
 西大山駅で降りた。ここはJR最南端の駅として知られている。何にもない閑散とした駅だが、最南端にあるので、鉄道マニアの人が集まって、発車する列車を撮影している。線路の先には開聞岳がそびえている。踏切までの風景はのどかで、昭和の頃の面影を感じた。
 線路の先に見えるのは、大きな開聞岳である。薩摩半島の南端は、この火山の支配下にある。駅で弁当を食べて、四十分ほど駅の周辺でのんびりした。指宿枕崎線が廃止されれば、この風景も過去の物となるのだろう。(つづく)


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2016年10月16日

「指宿」は「いぶすき」(3)

 時間の余裕がないので、そのまま指宿枕崎線のホームに向かった。国鉄がJRに再編されて以来、九州の赤字ローカル線も多くが廃止された。枕崎が終点となったこの路線も、鹿児島交通枕崎線と接続していたが、伊集院までの私鉄が廃止されたことで、薩摩半島の先端で行き止まりになってしまった。
 指宿枕崎線の廃止を防いでくれているのが、観光列車の特急玉手箱号である。この名前は、指宿が浦島伝説と関わりがあることにちなんで名づけられたという。普通列車の車両を改造し、外装は黒と白の二色に塗り替え、椅子は車窓と向かい合うように設置されている。発車のベルがなって、エンジンがフル回転する音がした。気動車が高台に差し掛かると、桜島の全景が海上に浮かび上がって見えた。
 車内販売が来た。卵のプリンと胡麻プリンの二層になったお菓子を食べた。これは玉手箱号のデザインを模した物である。サツマイモの発泡酒は芋焼酎のような匂いがした。飲みながら、半生の鰹スライスを食べた。指宿まで一時間足らずの旅だったが、途中、乙姫様の姿をした女性が、乗車記念に玉手箱の形したお菓子を配っていた。(つづく)

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